君を守るためなんて
只の口実なんだよ……


側にいる為の……










ガードマン  2










最近、ちゃんへの告白が急増した。

いったい、何が原因なのかサッパリ解らない。
先輩が言うには、"最近色っぽくなったからなぁ"ということらしいが。


「納得いかないな。」
「何がだよ。」


部活の休憩中に南にぼやく。
南も、ちゃんは最近可愛くなったと言った。


「俺が一番近くに居るはずなのにさ……。」
「ああ。」
「何で、俺が一番ちゃんの変化に疎(うと)いんだろ。」


返ってきた言葉は一つ。





『恋は盲目。』





「は?」
「普通周りが見えなくなるんだけどね。」


あ、周りと比較できなくなったのかな?
呑気(のんき)にそんな事を言う南。
何でお前、そんなに冷静に答えられるんだよ!


「確かに、ちゃんのことは好きだけどさ。」
「あと、いつも一緒にいるから、逆に変化に気付けないのかも。」





近くに居すぎる。





それもそうかもしれない。
それなら……。

いっそ、一度離れてみようか……。


いや、それはいけない。
それじゃあ、守れない。
守りたいというのは、嘘じゃないから。

どうしようか。





そんな事をグルグルと考えていた所為か、部活にちっとも集中できなかった。
本当に全く集中していなかった。


「千石さん!危ない!!!」
「え?」


室町くんの声が後ろに聞こえて……。
振り返ろうとしたら……。
後頭部に殴られたような、鈍い痛みが走った……。










今日もクラスの男の子に告白された。


「あのさ、俺……。ずっと好きだったんだ。」
「でも私……。」


私が好きなのは君じゃないの。
君じゃなくて、テニス部の最高にカッコイイ……。


「知ってる。」
「え?」
「知ってて告白したんだ。」


バレるなんて事ないと思っていた。
だって、伝えても叶わないから。
今まで、隠してきたから。


「困らせてごめん。」
「・・・・・・。」


本当に申し訳なさそうな顔をする、クラスメイトの男子。
何か、こっちが謝りたくなる。

しばらくの沈黙。

ふと、その男子と目が合う。
すると彼は微笑んだ。


「なんかあったら、協力するよ。」
「ありがとう。」


とても嬉しかった。
協力してくれるなんて、思ってもみなかった。
心からお礼を言って別れようとした時、テニスコートから悲鳴にも似た声が聞こえてきた。


「テニスコートの方だね。何かあったのかな?」
「・・・・・・。」
「急いでいった方がいい、さん。」
「う、ん。」


その言葉を切欠(きっかけ)に、私は弾かれた様に走り出した。
何かなんて、大した事じゃないだろう。


でも……


途轍(とてつ)もない不安に襲われたのは言うまでもない。





なぜだかは解らない。
でも、確実に何かに駆り立てられる様に、私は走った。


全力で走った……





テニスコートには、千石先輩が倒れていた。


「先輩!!!」















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+あとがき+

キヨ2話目〜。
勢いだけで書いてます。

ちゃんに告白してきた男子。
あんなイイヤツ今時いませんね。
でもイイヤツじゃないと、とんでもない展開になるからな(自主規制)

だいぶキャラ達が勝手に動き出しました。
楽しいな♪
本当に何がどうなるのかは運任せ。
楽しくなってきたな♪

次で最後の予定です。
是非読んでくださいねv

by碧種

03.08.21