私は……何者だ?
君の名は。
いったい何の為にここにいるのだ?
僕の望みの為だ。
では……貴様は何者だ?
僕の名は……。
破壊者1
目を覚ますと、いつもと同じ白い天井と日の差す窓が見える。
窓から差す日は、暖かい。
「私は何者なのだ、ルック……。」
何年か前に問うたが欲しい答えが返ってくることはなかった。
暗い闇の中で見たのは、奴の悲しい輝きの目。
それは、憂いをも含んで輝いていた。
その闇にいたのは、私とルックのただ二人。
「答えはもらっていないぞ。」
その闇に存在する前の私は何もない。
虚無と言う名の存在。
それが奴から存在理由をもらう前の私。
何もない、完全なる無。
しかし、今はそうではない。
虚無ではないはずだ。
だが……。
「貴様の望みの為に存在すると言われ、何年が経った?」
水で顔を流し、すぐそこにある鏡を見る。
向こうから覗くのは、深緑と濃紺の瞳。
俗に言うオッドアイ。
それにかかる髪は、鋼の色。
自然ではない色、彩。
それは、おそらく私が人ならざる存在だからで……。
それでも、拾う物好きはいるものだな。
そう、一人物思いに耽(ふけ)る。
「。」
「ルックか……。」
私の部屋にノックもせずに入ってきたのは、私に存在を与えたルックだった。
存在を与えられてから3年。
会ったことがある存在はルック一人のみだ。
ルックも私と大して変わらぬ存在だと気付いたのはいつ頃だったろうか。
「外に出たいか?」
「別に。」
私の望みは、ない。
本当に何もない。
「本当に欲がない奴だな。」
「そうしたのは、貴様だ。」
起きてから寝るまで私がする事といったら三つしかない。
読書と食事と訓練。
戦闘訓練、魔術訓練、そして"マインドコントロール"。
どれも楽しくもなければ、面白味もない。
「感情もなければ、強い思いもない、か。」
「ああ。」
そういう貴様も大して、感情が豊かではないがな。
心の中で嘲笑ってやる。
ふっと、私の顔に影が落ちてくる。
唇に柔らかい感触が触れる。
「これでも、動揺すらしないのだからな。」
「ああ。」
「おはよう。」
「ああ。」
朝の光が部屋の中を照らす。
何の面白味もない、思いもない、願望もない毎日。
涙も流れなければ、笑顔も零れない。
それが私。
でも、貴様が何かを与えてくれるならば……。
何かを還すのも、楽しいかもしれない。
それが、命がけになろうとも……な。
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+++++++反省会
突発的夢、また書いてしまいました……。
しかもルックだしさ、自分のためにはなってないしさ……。
続くのか?続けて良いのか?!
これくらいの甘さ加減が私は好きです(実は)
これはきっと浅乃の為になっているんだろうなと。
by碧種
03.07.20