先輩は、いつか気付いてくれるかな？
私がこんなに緊張するのは……
誰が相手でもじゃないってこと……
sweet GIRL's side 2
放課後、調理室を借りてお菓子を作っていたら足音が聞こえてきた。
「誰か……いるのかな。」
でも、もう外は真っ暗。
誰だろう……。
そう思ったとき、足音がこっちに向かってきた。
「……さん？」
「！！おっ大石先輩！？」
外にいたのは、部活が終わって帰るところだった大石先輩だった。
外はもう真っ暗で、時間は七時を回っているはず……。
「こんな時間まで、何をしてるんだい？」
「えっと……。それは、その……。」
「？」
何をしていたか話そうとしているのに、また顔が熱くなって何も話せなくなる。
私の後ろにあるのは、綺麗にラッピングしたプレゼント。
本当は先輩のために……。
いいたくても、言葉にならない。
私が先輩のために作ったお菓子。
先輩が受け取ってくれなかったら、傷付くのは私だから。
無い勇気を振り絞って、今渡そうと決心した。
なにもないかのように顔を上げてプレゼントを手に取った。
「それ……。」
「こっこれは……。」
傷付くのは自分なのに……。
なのに、手に取ってしまった。
「これ、は……。」
「いや、言いたくなかったらいいんだ。」
突然、言葉を発する。
邪魔してごめんねと言ってその場を離れようとする大石先輩。
一歩、二歩、三歩……。
「大石先輩、待って下さい！！！」
校門に向かって行ってしまいそうだった先輩が止まった。
止まってくれないと思っていたのに、振り返りはしないと思っていたのに……。
言葉に答えて先輩は止まる。
そして、顔が私に向く。
先輩がまた近づいてくる。
一歩、二歩、三歩……。
「何かな？さん。」
「えっと、その。」
ラッピングしたお菓子を大石先輩の前に差し出す。
そして出来る限りの笑顔で一言。
「誕生日おめでとうございます！」
「え？」
「明日、誕生日……ですよね？」
「あ……。」
どうしたんだろう？
大石先輩は黙り込んで下を向いてしまった。
何か変なことしたかな？
「期待しても、いいのかな？」
「？」
小さく言葉を漏(も)らす。
訳が解らない、と思って大石先輩を見る。
先輩が私を真っ直ぐ見た。
何なんだろう、そう思って私も真っ直ぐと見る。
「俺さ、さんのこと好きだから。」
「え！？」
我が耳を疑う。
好きって、言ったの？
本当に？
焦って言葉も空回りしていると、大石先輩がまた歩き出した。
もう一度距離が開く。
一歩、二歩、三歩……。
「わっ私も！！」
咄嗟(とっさ)に言葉が出た。
先輩が止まるけど、顔はこっちに向かない。
「わた、しも、大石先輩が……好き、です。」
言えた。
その言葉が自分の口からちゃんと出たことに驚いた。
「本当に？」
「は、い。」
「本当に、俺のことが好きなの？」
「は、はい。」
思わず、笑顔が零(こぼ)れる。
大石先輩が私の方を向いて最高の笑顔で言った。
「家まで、送ろうか？」
「！！はい！」
そして私も、最高の笑顔で頷(うなず)く。
あとがき＊
2222HITを踏んだすずらんさんに捧げた夢のヒロインサイド。
見つけてくださってありがとうございますv
この二つのsweetを横に並べてみて下さい。
（特に後半が）面白いことになりますよ。
千石夢ガードマンはこれのボツ案だったり……。
後いくつかありますがね。
それは後々出します。
すずらんさんのみこれもお持ち帰り可ですよ〜。
by碧種
03.08.25