でも
きっと君を、好きになる。
友達に誘われて行ったテニスの試合で、彼を初めて見た。
長身で癖っ毛で眼鏡をかけていて、人一倍大人っぽい。
それが彼の第一印象。
中学生の大会だったので、最初はコーチの先生かなにかかと思った。
でも、彼も周りの子達と同じ"中学生"だった。
周りの子達と同じジャージを着て、静かに応援をする……。
彼も周りの子達と同じ"中学生"だった。
「手塚部長。」
「何だ、越前。」
"手塚部長"と呼ばれた彼は、青春学園の男子テニス部部長だった。
初めて聞いた彼の声は、低く、心地よく響いた。
言葉では表せないような感覚に陥った。
もっと聞いていたい様な、全身に染みるような……。
その日の試合では、彼のプレーは見られなかった。
シングルス1まで回らずに決着がついてしまったからだ。
彼に興味があっただけに残念だった。
次に彼を見たのは通学のバスの中だった。
始発駅から乗っていたバスに、彼が乗ってきた。
「あっ……。」
その時、思わず声が出た。
幸(さいわ)い彼は気付かなかった。
スマートな動作で私の斜め前の座席に座った。
鞄から本を出して読みだす。
そんなちょっとした動きでも様(さま)になる。
本当に"中学生"に見えないな。
大学生か、下手すれば社会人にも間違えられかねない。
黒い詰襟(つめえり)が不自然に見えるくらい大人っぽい。
斜め後ろにいるから、頭しか見えない。
髪の毛は遠目で見るより柔らかそうで、手を伸ばしたくなった。
『次は青春学園前です・・・』
車内放送が入る。
彼が下りる停留所が近付いた合図だった。
残念。
正直にそう思った。
もっと見ていたかったのかもしれない。
停留所に着くと、さっと席を立って降りてしまった。
その動作一つ一つも人目を引くような感じだった。
その日、久しぶりに大きな本屋に行った。
「・・・・・!!」
面白そうな洋書を探して、本棚に集中していると人にぶつかってしまった。
「ごめんなさい!」
相手の顔を上げてみると、そこにいたのは"中学生"の彼だった。
「っ!!?」
「こちらこそ、すまない。」
全く動揺せずに無表情で答えた彼。
なんとなく、私のことを年下だと思っているように思えるのはなぜだろう。
ビックリして固まっていると、彼の方から話しかけてきた。
「何を一生懸命探しているんですか?」
「ただ、面白そうな本はないかなぁと思って……。」
久しぶりに洋書を読みたくなって、フラッと立ち寄っただけですから……。
久しぶり過ぎてどの本が良いのかも解らないくらいだ。
高校受験以来一冊も読んでなかったから……。
「それなら、今度何か貸しましょうか?」
「え?」
願ってもない申し出。
手塚君と何かしらの繋がりを持てる思ってもいなかったチャンス。
でも、突然見知らぬ人間に本を貸そうというのもどうだろうか?
そう疑問に思った。
それを目の前に居る彼に告げる。
「知らない人間にそんな事言ってもいいの?」
「俺は知ってます。」
「!?」
驚きの事実。
彼は私の事を知っていると言う……。
どういうことだろうか?
"知っている"?
私は会った覚えがない。
どうしてだろうか……。
「先輩、ですよね?」
「なんで……。」
私の名前を知ってるの?
驚きのあまり、言葉が出ない。
確かに私は彼と同じ青春学園出身だ。
でも、大して目立つような成績を上げたわけでもないし、ましてや問題なんて起こしたことない。
どうして?
「本当に……何も覚えていないんですか?」
寂しそうな声で言った彼は、僅かに視線を逸らした。
しばらくお店の中の異様な静寂さに包まれた。
「では、先輩が思い出すまで本を貸します。」
「え?」
「思い出していただけるまで待ちます。」
手塚君は理解できない私を置いて話を進めてしまう。
私の言葉を言葉を遮(さえぎ)る様に彼は言う。
「日曜日の午後4時に、この本屋の前で会いましょう。」
「ちょっ…えっ!?」
「それでは。」
すたすたと去ってしまう彼のうしろ姿を、見えなくなるまで見つめた。
謎は増えるばかりだった。
「日曜日、午後4時……。」
口に出して言ってみたことは、何故か引っかかり続けた。
何が何だかよく分からなかったし、振り回されている気がする。
でも、また逢いたいと思ってしまうのはなぜだろうか……。
+++あとがき
また突発的ドリーム。
国光氏への愛が………。
変換少なっ!!
"きっと"とか"たぶん"の%は私が勝手に考えました。
当て字に近いので本当の言葉の意味とは、ずれてますです。
"きっと"だけ中途半端な数なのは特に意味無し。
70%でも75%でも違うような気がしたので73%〜。
最後のほうは意味不明な文章に……。
落ち着いてから手直ししたいと思います、はい。
by碧種
03.09.22
追記+++
ようやく修正できました(汗)
でもまだまだ修正できるところがありそうで怖いです(泣)
で、修正したと言う事は続きを書く気になったと言う事で……。
がんばらなくちゃなぁ……と思う今日この頃。
一年ちょっと前の自分の未熟な文章がとても恥ずかしいです……。
04.09.25