今日も今日とて
テニスコートから
悲鳴が……
上がるはずだった……










HAPPEN!?〜乾ver〜










「レギュラーは全員特別メニューを行う。」


手塚の声がコート中に響き渡る。

ゴクリ

この瞬間、乾汁さえなければ……と思った人間は何人いるだろうか。
手塚ですら恐れる乾汁……。


「メニューの説明は、乾。」
「ああ。今日のメニューは………。」


説明せずとも乾汁が使用されることは誰もが知っている。
なぜなら、さっきマネージャーの私( 15歳☆)とが乾汁を運んでいたのを不幸にも全員が目撃してしまったからだ。


「乾汁イヤ。」
「乾汁嫌だ。」


そんな囁きがあちらこちらから聞こえてくる。
乾汁ほど怖いものはない。(不二は例外のようだけど)
まさか、数週間後に乾汁よりも恐ろしいものが開発されるとは誰も予測していなかった。

「もちろん、コーンに当たらなかった者には、この乾特性野菜汁を飲んでもらう。」
「・・・・・・・・・?」


何かがおかしい。

その場にいた全員がそう思った。
それを運んでいた私とですらそう思うのだからしかたがない。

何がおかしい?

皆、グラスに注がれた乾汁(?)を凝視(ぎょうし)した。
ハルもその視線に気が付いたらしく、視線を集めている乾汁を見た。


「どうかしたのか?」


本人は分かっていないようだが明らかに今日のそれは乾汁とは違った。





色が違うのか?
いや、あの異様なオーラが出ていない!!

↑の事に気付いた私はハルに聞いてみた。


「ねえ、ハル。」
「なんだ、。」
「それ……味見した?」


普段のハルならば、自信満々に答えるはずだ。
「味も微調整したぞ。」とね。
でも、今日は何かが違う気がする。


「どう……だったかな。」
「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」


その場にいた全員とハモった。
やっぱり今日のハルはおかしい。


「い〜ぬい〜。熱でもあるんじゃにゃいの〜?」
「そんな事はない。」


菊がちょっかいを出す。
ハルは否定するが、たぶん何かがあるはずだ。


「乾、今日はおかしいよ?」
「休んだほうが良いんじゃないか?」
「いっいや、そんな事は……。」


不二に真剣な顔(開眼)で言われて、少し慌てたがさっきと同じ事を言っている。
大石は本気で心配しているようだ。


「乾先輩、無理はいけないっすよ。」
「こいつの言う通りっす、先輩。」
「だから、そんな事はないって……。」


必死で否定しているが、何か異常があるのは確かだ。
最終手段は私がマネの権限で強制連行することだが……。


「「「「「「「「「(先輩)!!」」」」」」」」」
「了解。」


レギュラー全員からの指示があったのでハルを強制連行する。


まで俺がおかしいと言うのか?」
「もちろん。」


腕を掴んで保健室まで引きずる。
掴んだ腕はいつもより心なしか熱かった。
私に抵抗する気力もほとんどなかった様だ。










保健室に着くと、風邪を引いていることが分かった。


〜。」
「病人は大人しく寝てること。」


保健の先生に頼んで体温計を借り、体温を測る。
結果は・・・38.4℃。
普通の人間なら立つのも辛いところだろう。


「ハル、朝何か気付かなかったの?」
「何も。ただ少しだるいかなってくらいだ。」


よくもまあ、学校まで来ましたね。
出来ることなら今すぐ、家に強制送還してやりたいとこだわ。
もう放課後だし、帰しても大して問題ないだろう。


「ハル、帰る?」
「・・・・・・。しばらく寝ていたい。」


ベットにもぐるハルから(逆光)眼鏡を外してやる。
本当は綺麗な目も、学校中で私ぐらいしか知らないだろう。


「お休み、ハル。」


そう言った時にはもう寝ていたようだ。










5時頃まで寝かせてあげて、保健室に迎えに行った。
5時半には保健の先生が帰ってしまうからだ。
手塚に了承を得て、ハルを家まで送った。


「大丈夫?」
「大丈夫だ。寝たら楽になった。」


まだ熱の冷めない手を握って帰った。
まだ風邪は治りきっていないけど、すぐに治るだろう。


「今日は早く寝るんだよ。」
「ああ、分かってる。」


ハルの風邪が早く治るように、元気になるようにそう願いながら家に入っていく後姿を見送る。
すると、ドアノブに手をかけたところでハルが振り返った。


「どうかしたの?」
「あ、いや、気を付けて帰ってくれよ。」


いくら明るいといっても、私の家までの道のりは30分はある。
何もないとは言い切れない。

「わかってるよ。おやすみ。」
「おやすみ。」


笑顔でハルに言う。
ハルも笑顔で返す。
いつも通りのやり取りだ。
そんなやり取りも今日はホッとする。






そして数週間後、青酢が開発されることは誰も予測しなかった。








−−+−−+あとがき+−−+−−

最強乾汁……。
テニプリ10.5を読んだ人間はその壮絶さを知っているだろう。
最凶青酢
乾さんはかなり勢いで書きました。
なので、おかしい所があるかもしれません。
あったら、初めてだろうとなんだろうと遠慮なく言ってください。

今回も彼女設定だ……パターン化しつつあって嫌だな。

次はタカさんだあ。
ふふふふふふ。
どうしようかなぁ。

by碧種

03.07.17