なぜか知らないけど、今日はケガ人が多いようで……。










HAPPEN!?〜大石ver〜










今日は朝早くからテニス部の人たちが保健室に何人も来るんです。
私は保健委員(しかも朝当番)だから、手当てをしているんだけど…。
いつもならこれくらいの怪我では来ないはずなのに……。
私は意を決して二年の桃城君(通称:桃色片思い(笑)or桃ちゃん)に聞いてみた。
こいつも、すり傷程度で保健室に来てるし(私の仕事を増やすな!)


「桃ちゃん。」
「…っなんすか?先輩。」


消毒液を桃の膝に付けながら話しかけた。
液が染みたらしく、目が涙ぐんでいた。


「今日は何で男テニの部員がいっぱいここに来るの?」
「ああ、それは大石先輩が風邪で休んでるからっすよ。」
「そう、秀一郎が……え?」


納得しかけて、いや違うだろうとは一人で乗り突っ込みしてしまった。
あの秀一郎が風邪を引いたですと?!


先輩もビックリッすよね。」


ビックリなんてレベルじゃないよ!
胃潰瘍(いかいよう)で入院とか、腹痛で見学ならまだしも、風邪でお休みですか?!

どうした、青学の母。


「どうして風邪なんか…。」
「さあ。俺は知らないっすよ。先輩、お見舞い行ってあげたらどうっすか。」
「え?」
「いや、二人が付き合ってるって、不二先輩が言ってましたよ?」


うっわー、不二が言いやがったのか。
確かに同じクラスの不二に仲立ちをしてもらった。
だから知っているのは当たり前だが……。
言いふらすなよ不二。





結局テニス部員の手当てのせいで、朝のショートホームルームに遅刻した。(くそう)
その上秀一郎のことで授業に集中できず、先生達に怒られた。(痛い)
昼休みボーっとしていたら、親友のに突っ込まれた。(なんで)
午後の授業(家庭科)中に包丁で指を切った。(アウチ)
保健室に行ったら呆れられた。(なぜ?!)





「踏んだり蹴ったりだわ。」


そう呟くと、一緒に掃除していたに言われた。


「大石君がいないとボロボロね。」


その一言、結構痛いんですけど。
さらに、英二に言われた。


は、いつも大石と居るしね。」


確かにいるさ、一緒に。
だって、一応は彼女ですもの。
しかも、互いに一目惚れですよ。
両思いになったからには、出来るだけそばに居たいじゃない。


「「ま、がお見舞いに行けばいいんだけどね。」」


うわ。
英二とがハモッたよ。
その言葉でトドメ刺されたよ、私。





結局、は先に帰って、私は一人秀一郎の家にお邪魔することになった。



ピンポーン









「あれ?」


いつもならすぐに小母様(おばさま)が出てくるはずなのに、誰も出てこない。
買い物にでも行ってるのかな、と思いながら玄関先に突っ立っているとドアが中から開けられた。
中から出てきたのは……。



「………?」
「秀一郎?!」


パジャマ姿のままで、汗だくで苦しそうな顔をした秀一郎だった。
私の姿を見ると秀一郎は嬉しそうに微笑んだ。
でも、その顔もとっても苦しそうだった。


「秀一郎、寝てないとダメだよ。」


そう言いながら家の中に入り、リビングまで歩いた。


「だいたい、小母様(おばさま)はいないの?」
「ああ、家族旅行で出かけてるんだ。だから俺は留守番。」


なるほどね……。
病人が玄関に出てきたのも、風邪が全然治ってないのもその所為(せい)か。
私は少し納得したけど、まだ疑問が残っていた。
秀一郎をベットまで連れて行って寝かせながら訊いた。


「じゃあ、何で風邪なんか引いたの?」
「それは……。」
「それは?」


なんか、とても言いにくそうな秀一郎。
だけど言ってもらわないと困るんだよね。
なんとなくだけど。


「それは…。今日の誕生日だろ?」


あ、忘れてた。
そういえばそうだったっけ。


「それで昨日、部活終わってからプレゼントを買おうと思ってたら、部活終わるのすっごく遅くなって……。」
「それで?」
「だから、着替える時間も惜しかったからそのまま走って買いに行ったんだ。」


そういうこと。


要するに、ちゃんと汗を拭かなかった秀一郎君は、その後さらに走ったことによって風邪を引いてしまったと。
そして、その風邪を引いたのは私のためだと。
ちょっと嬉しいじゃないですか。
彼氏が風邪を引いたのに、ね。


「そんな、誕生日なんて忘れてたくらいなのに。」
「ハッピーバースデイ、。」


そう言って、秀一郎君はいつもより温度の高い手で小さな箱をくれた。
私は中身を見ずに、その箱をカバンの中にしまった。
秀一郎にはしばらく寝てもらうように言って、お粥を作り始めた。

は、今日は仕方がないから大石の看病をしてやろうと思った。
大石にお粥を食べさせ、寝かせて家に帰った。





そういえば、箱の中身はなんだろう、と思ってカバンから箱を出した。
手のひらに乗るくらいの大きさの箱の中から出てきたのは、シンプルな指輪。


「秀一郎にしては、大胆なことするね。」


一言呟いて指輪をはめてみた。
薬指にピッタリ。

いつの間にサイズを知られたんだろうか。
深く考えると、某黒魔術師の顔しか思い浮かばないのでやめた。





次の日には、大石は元気に登校したらしい。
でも、なぜか腹痛は前より酷くなった気がすると本人は言っている。
そして某一年生トリオは"F先輩が理科室で怪しいことをしてた"と半泣きになりながら証言したらしい。















*****あとがき*****

いやあ、大石君も災難ですね(大石&不二のファンの皆さんごめんなさい)
通称:桃色片思いは、某サイト様でよんだ夢の影響です。
あんまり季節については突っ込まないでください。
あと、連休中が誕生日の方は当てはまりませんね(あはは)

実はこの小説打ってる間、私も災難に遭いました。
夜中に起きて(完徹かしら?)カタカタ打っていたら、母親に見つかった(汗)
やばいなあと思いながらも続行。
そしたら今度は父親が起きてきた(滝汗)
なぜこんなに見つかってしまうのでしょう。
BY碧種


03.05.11