ああ
やはり今が
今が借りを返すときだ
存在を与えられた借りを……
破壊者3
ルックはだんだん変わっていった。
仲間を連れてくるようになった。
ユーバーに始まり、セラ、アルベルト……。
奴が何を求めているかは解らない。
何をしようとしているかも解らない。
このとき始めて願望をもった。
"解りたい"と……。
そのうちに仮面を付け出した奴は、嘲笑う事しかしなくなった。
最初よりも感情がなくなった。
そして仕舞いには戦いに出だした。
村を焼く、人を殺す、全てを焼き尽くす。
ほとんどはユーバーがやっていたが、指示を出しているのはルックだった。
その戦いに私も参加するようになった。
まれに、私やユーバーの目をかいくぐって、ルックを殺そうとする者もいた。
大抵それは無駄な行動となってしまうのだが……。
「フッ。他愛もない。」
「確かに。」
戦いが終わろうとも、何回終わろうとも、また次の戦いが待っている。
最後の戦いまで何回争えば良いのだろうか……。
限が無いではないか。
それは誰もが思っていることだと、私は思う。
"くだらない"とそう思いながら戦っている。
戦い続けてそしてそのうちに、前のような生活に戻る日が来ると思っていた。
白い部屋で目覚めて、本を読み、訓練を重ね、ルックと喋り、また寝る。
そんな生活が戻ると信じきっていた。
あの日までは……。
「ルッ、ク……。」
「?っ!!!!!」
鈍い痛みが全身を駆け巡る。
何が起きた?!!
自分でも解らない感触が走る。
ゾクッとする。
何か冷たいものが身体を撫でた。
殴られたわけではない、斬られた…のか?
痛みが全身を駆けると、フッと感覚が消える。
痛みが、音が、色が、光が、闇が、消える。
一瞬の出来事。
銀の光が右肩から左足付け根までを直線に撫でた。
その瞬間に私は、コワレタ。
相手の顔も見えなかった。
ただ、何の考えもなくルックの前に飛び出したときだった。
危ないと思ったわけでも、守らなくてはと思ったわけでもない。
ただ……。
ただその時は行かなくてはならない気がしただけだった。
最期に見えたのは、仮面を外し目を見開いた奴の顔だった。
最期に聞いたのは、私に与えた名を叫ぶ奴の声だった。
最期に目に入ったのは、昔より色褪せた奴の髪の色だった。
最期に消えたのは、奴に与えられた光と闇の意味だった。
「、!!」
彼女の身体を抱き寄せて、偽りを外した顔で覗き込む。
敵がいるのも、見ているのもかまわず叫び続ける。
、、!!
後ろから襲ってこようとも、前から斬りかかってこようとも気にしない。
いくら誰に、仮面を付けろと言われても身体は動かない。
その場に縛り付けられたように動けない。
いや、動きたくないだけだ。
これでは、駄々をこねるガキと同じじゃないか。
「ルック様、どうか様から離れてください。」
「、……。」
「ルック、貴様はここで死ぬ気なのか?!!」
「っ!」
どんなに説得されても、どんなに罵声を浴びせられてもいい。
ただ、今は考えたくないんだ。
本当は灰色の混沌の世界が変わると思ったんだ。
ユーバーとアルベルト、セラそして君がいれば……。
そして……。
そしてもう一度、昔の生活に戻れるような気がしていたんだ。
君が、あんな奴らにやられるとは思ってもみなかったよ。
気が付けば戦闘は終わっていた。
炎の中に僕とそして皆がいる。
「ルック様。」
「何だ、セラ。」
の頭を抱きしめたまま、振り向きもせずに答える。
涙は出ない。
感情の出し方さえ忘れてしまったか……。
本当に情けないにも程がある。
「戻りましょう。」
「ああ。」
彼女の身体を抱き上げてそのまま、テレポートする。
ベットに壊れた身体を寝かせて、側に座る。
他の奴らは出て行った。
本当は……本当は!!
運命を変えて、人ならざる僕らでも平穏に暮らせる世界を創りたかったんだ。
運命を変えたかっただけなんだ。
君が好きだから。
今ならあの質問に答えよう。
"私は……何者だ?"
君は……僕の支え……。
愛した人だ……。
あとがき+−+−−+−−−
公式カップリング、ルック×セラを大幅に無視した小説終了。
この小説で、ルック×セラは認めないということを表明します(笑)
ホント中途半端な小説ですね。(笑)
ヤマナシ、オチナシっす。
どんなことが書きたかったかというと。
1.人ならざる存在の痛み
2.(幻水3の)ルックってどんな奴よ?
3.仮面の下の素顔(笑)
4.愛情って何?愛するって何?
の4項目だったはずが、訳分からなくなりました。
by碧種
03.07.20